福島銀行は福島市に本店を置く第二地方銀行。
福島県に住んでいる人にとっては、県内に支店・ATMが多いことや、地域密着のアットホームな雰囲気が魅力です。
しかし、経営状態がやばいとか地銀再編で合併とか、不穏なうわさを耳にすることも…。
実際のところどうなのか、調べてみましたよ。
Contents
福島銀行がやばいと言われる3つの理由
福島銀行が「やばい」と言われるのは事実無根なわけではありませんが、現在の経営状態は安定しています。
焦って口座を解約する必要はなさそうですよ!
では一体、どんな理由があるのでしょうか?
- 2018年度に社長が引責辞任するほどの大幅赤字
- 金融庁からの業務改善命令
- 社長がライバル銀行出身
①社長が引責辞任するほどの大幅赤字
福島銀行は2018年3月期単体決算で33億円の最終赤字に転落。
当時社長であった森川英治氏はその責任を取って辞任しました。
この赤字は
- マイナス金利政策の影響で貸出金利息が減少したこと
- 保有する投資信託に含み損を抱えたこと
- 不良債権の処理費用積み増し
などが原因と言われています。
②金融庁からの業務改善命令
上記の大幅赤字と同じ2018年春、金融庁が福島銀行に収益力改善を求める業務改善命令を出しました。
法令違反やコンプライアンス違反でなく業務改善命令が出されるのはめったにないこと。
収益力改善のための取り組み、命令されなくてもやっていますよね…。
金融庁が他の銀行との経営統合を促しているとの見方もあるようです。
③社長がライバル銀行出身
森川氏の後任は、ライバル銀行である東邦銀行元専務の加藤容啓氏です。
東邦銀行は福島県のトップバンク。
地銀再編の流れに乗って「合併」という話になりそうですよね。
実際、金融庁が合併のシナリオを描いていたといううわさもありましたが、公的資金の注入が見送られたことで立ち消えになりました。
加藤氏が社長になってからの業績は、ほぼ黒字化しています(2021年度は新型コロナウイルスの影響による赤字)。
福島銀行の打開策ーSBIホールディングスと資本提携
2019年11月、福島銀行はSBIホールディングスと資本業務提携契約を締結しました。
SBIホールディングスの「地銀連合構想」は全国の地方銀行と資本・業務提携するもの。
福島銀行を含めた以下の9行と提携しています。
- 島根銀行
- 福島銀行
- 筑邦銀行
- 清水銀行
- 東和銀行
- 筑波銀行
- きらやか銀行
- 仙台銀行
- 大光銀行
SBIから資本、ノウハウ、ネットワーク、商品・サービスの提供を受けることで再生への道筋が確かなものになるでしょう。
一方SBI側にもメリットはあります。
地元からの信頼がある地銀が持つ顧客基盤は、事業規模の拡大につながる魅力的なもの。
両社の強みを生かし、目に見える変化としては次のものがあります。
2020年 共同店舗「福島銀行SBIマネープラザ郡山」新設
→地域の顧客と対面で多様な金融商品の紹介ができます。
2024年 SBI開発の勘定系システム導入予定
→事務業務がラクになり伝票・印鑑を使わない取引ができるようにもなるんだとか。
2022年3月期決算では、純利益が8億2600万円とV字回復。
このうちSBIの商品による収入は1億8000万円を超えており、この連携の恩恵と言えるでしょう。
業績予想 2022年6月21日現在
単体
(単位:百万円)
2020年3月期実績 2021年3月期実績 2022年3月期実績 2023年3月期予想経常収益 11,373 11,105 10,704 10,700 経常利益 404 △1,758 727 800 当期純利益 350 △1,743 826 700
引用:福島銀行公式ホームページ
福島銀行が力を入れている11の地域貢献活動

引用:福島銀行公式ホームページ
福島銀行は地域貢献活動に力を入れています。
ボランティアに休日をつぶされるという行員の悲鳴もあるようですが、住民目線では親しみを感じられていいですよね。
こんなに頑張っておられますよ。
1.福島市の夏の風物詩「福島わらじまつり」に、踊り手として地域の方々と参加
2.「福島とうろう流し花火大会」にて、お客様対象に福島銀行本店12階の大展望ラウンジを開放
3.障がい者施設製品の大展示即売会
株主総会や窓口感謝デーのお土産としても同製品を活用
4.「ふくぎん みんなのサポート市民活動助成金」
福島県内で高齢者を守る活動、子どもの教育を支える活動など、未来づくりに自発的に取り組む活動を支援・促進
5.「公益信託福島銀行ふるさと自然環境基金」
福島県内の環境保全に関する実践活動や普及啓発、調査研究を行う団体へ助成
6.地域文化事業への協賛(福島銀行オールドストーリーズ)
7.寄付つき自動販売機の設置
自動販売機の売上の一部を犯罪被害者支援活動に寄付する自動販売機を設置
8.イルミネーションの設置
地域活性化の一環として、福島市の本店ビルでイルミネーションを点灯
9.福島銀行から10年分の「ありがとう」
東日本大震災から10年目となる2021年3月11日に、世界中からの支援に対して感謝の気持ちを込め、本店ビル西側の窓に「ありがとう」のメッセージとハート型のイルミネーションをライトアップ
10.ボランティア活動
福島県内外で行われるイベントの運営ボランティアや地域の清掃活動、献血など、全社員がボランティア活動で地域に貢献
11.公益財団法人 福島県障がい者スポーツ協会への寄付
まとめ
- 福島銀行は2018年度の大幅赤字により「やばい」印象となった。
- 福島銀行は異例の業務改善命令を受けた。
- 福島銀行はSBIホールディングスとの提携により再生に向かっている。
- 福島銀行は地域に密着し、社会貢献に力を入れている。
福島銀行だけでなく、地銀は地域の人口減少とマイナス金利、コロナ禍も重なり苦しい状況です。
SBIの目の付け所は鋭く、地銀にとってはまさに救いの手。
良い結果になることが望まれますね!