バスや自家用車で動物を間近で見ることができるサファリパーク。
その中でも栃木県にある那須サファリパークで事故が続いています。
那須サファリパークといえば!
東京ドーム10個分の広さを誇ります。
近寄ってきた動物たちにエサをあげることができる「体験型サファリパーク」として大人気です。
今回はそんな人気の那須サファリパークが事故多いといわれるのはなぜなのか…
2022年1月にあったトラの事故原因とその後どうなっているのか…
これらを調査しました。
Contents
那須サファリパークで事故多いのはなぜ?
那須サファリパークのこれまでの事故をまとめてみました。
- 1997年11月25日
男性飼育員1人がライオンに襲われる - 2000年12月25日
男性飼育員1人がライオンに襲われる - 2022年1月5日
飼育員3人がトラに襲われる
想像するだけで恐怖を覚えます。
こんな悲惨な事故は続いてほしくないですよね。
野生動物に対する管理体制マニュアルはきちんとあるはず。
ですが、2022年の事故で3度目。
なぜ相次いでしまうのか、事故の概要を詳しくみていきましょう。
1度目のライオンに襲われる事故
事故が起きたのは1997年11月25日。
基本、檻の掃除は2人1組が鉄則。
ですがその日は実習生が来ており、2人のうち飼育員1人が実習生に説明中だったそう。
1人の時間が出来てしまったことが大きな要因かもしれません。
1人で檻の掃除をしていた最中、内山泰希さん(当時21歳)をメスライオンが襲いました。
檻に入れたはずのライオンが、何かしらの理由で掃除中の檻に侵入。
なんと、このライオンは内山さんが3年間育ててきたアフリカライオン。
とても悲しくて辛い結末になってしまいました。
育ててきたとはいえ、相手は野生のライオン。
慣れている飼育員でも気の緩みはとても危険ですね。
内山さんの容態は、爪が肺にまで達する全治2ヶ月の重症。
奇跡的に命に別条はなく完治したそうで本当によかったです。
生きたまま捕食されそうになった内山さんのこの事故は、世間に衝撃を与えました。
この件で、飼育員への安全管理マニュアルがきちんと整備されていなかったことが明らかに。
その後、批判が殺到しました。
事故の原因が同園側の管理体制にあったとされ、書類送検されます。
栃木県からの「日本動物園水族館協会」への加入要請も同園は、無視していたそう。
安全対策の強化を重視するためこの協会には、国内6つのサファリパークを含む動物園95施設が加入しています。
2度目のライオンに襲われる事故
前回の事故からわずか3年…
2000年12月25日。
事故が起きたのは閉園中に清掃していた時のことです。
メスライオンが檻に侵入し、飼育員男性が(当時21歳)襲われました。
襲ったのは1度目とはまた違うライオンだったそうです。
男性の容態は、お腹や頭を噛まれひどい出血で、一時は意識不明になる程の重体でした。
またもや起きてしまった負傷事故。
前回の事故を教訓に制定された安全管理マニュアルですが…。
教育されているはずの「応急措置」が徹底されていないことが判明し、問題となりました。
今回も園側の管理体制に問題があったとされ、労働安全衛生違反容疑で書類送検されます。
3度目のトラに襲われた事故
事故があったのは2022年1月5日。
まず原則として動物を展示スペースに放つ時、2人体制は鉄則。
トラを展示スペースに移動させようと準備している時のことです。
動物を外に出す際の点検として、飼育員が外側から周辺に危険がないか確認をする作業があります。
ところが、その日は女性飼育員は1人。
自分がいる場所以外の確認をしてくれる人がいないという状況です。
運悪く、点検用通路が凍結。
空いている小部屋と通路を通ろうとした際、本来トラがいないはずの移動通路で鉢合わせ!女性飼育員(当時26歳)が襲われました。
1回目の事故も2人体制を徹底していない時に起きました。
その時の事故を思い出させるような2度目の事故。
当時の取材で那須サファリパークの葛原直人支配人はこう答えています。
動物を展示スペースに放つ時には2名体制というのが原則で徹底をしているのですが、今回は安全確認のための作業のため1人でした。トラが本来いない獣舎を通って外に出ようとしたところにトラがいてしまったために起きてしまった事故だと、今のところは推定しております。
引用:NHK首都圏ナビ
いつも安全確認作業は1人ということなのでしょうか…。
この体制ではいつ事故が起きてもおかしくないように思えて仕方がないです。
事故があったのは開園前の10分足らずの出来事。
鉢合わせた後、助けに入った2人の飼育員はトラに麻酔をかける前に救助に行き、襲われてしまっています。
助けに行った女性飼育員(当時22歳)は右手首から先を失う重傷。
他の飼育員も頭蓋骨骨折などの重傷を負っています。
被害に遭われた飼育員はこの先、傷も心の痛みも抱えて生きていくことになります。
本当に胸が痛くなります。
安全確認作業は命に関わる最も重要な業務の一つのはず。
今回警察は、業務上過失傷害容疑で家宅捜索を行いました。捜査結果としては、閉園後(事故の前日)本来なら獣舎に動物を戻す。
ここまでを、2人体制で確認するところを…。
途中で1人が違う動物のところへ行ってしまったそう。
残った1人は獣舎内におびき寄せる為の肉を置いたが、獣舎の扉を開けたか覚えていないといいます。
だとすると、トラは移動用通路に一晩中取り残されていたことになります。
もちろん餌も食べる事ができない為、トラは空腹状態で事故当日を迎えたのではないかといわれています。
那須サファリパーク本社でトラに襲われる事故も!
起きた事故は3度と思っていたのですが…
なんと、那須サファリパークは支店であり本社が存在します。
福島県にある本社、「野生の王国 東北サファリパーク」
本社も過去に事故を起こしていました。
事故は1989年12月26日、新入社員の女性飼育員がベンガルトラにホースで飲み水を与えていた時のこと。
右腕ごとケージ内に引っ張られ、肘から下を失う重症を負いました。
女性飼育員はあまりのショックと恐怖に怯えて事情聴取も応じられないほどのパニック状態だったそうです。
調べによると、警察は園からの連絡ではなく病院からの届出で事故を知ったそう。
無責任さが表れています…
那須サファリパークでトラに襲われた事故の原因は?
ここまでを振り返って2022年のトラ事故につながった原因をまとめてみました。
- 鉄則である2人体制が徹底しきれていない
- 「日本動物園水族館協会」へ加入していない為、共通マニュアルの連携がとれない
- 事故を繰り返さない為の安全対策の強化がされていない
- 過去の事故を教訓に安全管理体制の見直し、飼育員への教育がされていない
さらに、過去の事故を振り返ると若い人ばかりが被害に遭っていますよね。
このとから日本動物水族館協会の元会長山本茂之はこう見解しています。
「入って数年の人たちだけで飼育現場を担っているとしたら、指揮・報告系統も責任体制も満足に構築されていなかったのかもしれない。動物を飼うまっとうな仕組みはできていたのか。報道によれば、夕方、動物を獣舎に入れたという確認をしていない。朝になって、獣舎にいるという確認もしていない。分からない中でエリアに入っているようだ。人が少ない中での飼育管理が常態化していた可能性がある。もしそういうやり方なら、経験の浅いスタッフ18人でも、何とか現場は回せるが、それでは幅広く奥の深い飼育係の仕事は実現できないだろう」
引用:47NEWS
被害に遭った飼育員は、ほぼ20代。
ベテラン飼育員といえるキャリアのある人は他にいるのでしょうか。
また、2人体制が難しい背景として、従業員数と業務量のバランスが事故に関係しているのではと調査して思いました。
那須サファリパークの事故からその後…
2022年1月の事故当時は臨時休園していた那須サファリパーク。
2022年1月28日営業を再開しています。
改善策がこちら。
- 外通路の扉と獣舎内の動物を確認しやすくするための施設を改修済み
- 獣舎内のカメラの増設
- 設備や環境を常時確認する体制を構築
- マニュアルの見直し,従業員向けの研修・訓練の充実
と挙げています。
これが本当だと信じるしかないのですが…。
繰り返してはならない事故であり、二度とあってはならない!
と、肝に銘じて欲しいと願うばかりです。
そして、残念なことに2022年1月に飼育員を襲ったベンガルトラの雄「ボルタ」
2022年6月8日に急逝心不全で死んでしまいました。
「ボルタ」は世界に30頭ほどしか見られない金と白が混じった「ゴールデンタビータイガー」と呼ばれるとても希少な色のトラ。
那須サファリパークでとても人気があったそうです。
2022年1月下旬~ボルタの写真の展示や、献花台を設置して「ボルタ」に最後のお別れをしに来園する人でいっぱいだったそうです。
ベンガルトラ(ボルタ)
引用:PRWire
まとめ
- ヒューマンエラーを防ぐ為の2人体制はとても重要
- 猛獣を相手にしていることに慣れてはいけない
- 同じ空間には入らないよう飼育員との連携が必須
- 事故を繰り返さないよう安全対策の強化・従業員の意識を高める
子供から大人までスリルやワクワク感など刺激的な体験を得ることができるサファリパーク。
その裏には、従業員の危険性がこれほど伴うということを改めて知ることができました。
大きなリスクを覚悟して働いてくれている飼育員さんに感謝するとともに、安全管理体制のしっかり整ったサファリパークであって欲しいと心から願っています。